埼玉県
地域の食を活かした商品・イベント・場づくりの企画から運営まで、目的や目標を明確にしたプロジェクトとしてマネジメントを行っています。
デジタルマーケティングを強みとし、30〜40代をターゲットとした「日常に溶け込む地域体験」の設計を得意としています。
埼玉県産の規格外「あまりん」を、東京のパティスリーで選ばれるスイーツへ
令和7年度に実施した「埼玉県地域型食品企業等連携促進事業」では、埼玉県内で生産される規格外農産物を活用し、飲食・製菓事業者が使いやすい高付加価値な一次加工素材を開発する実証に取り組みました。
その中で、埼玉県を代表するブランドいちご「あまりん」について、形状、サイズ、過熟、収穫・運搬時の傷などを理由に通常の流通に乗りにくい果実を、ピューレやソルベなどへ加工する可能性を検証しました。
検証の結果、規格外の「あまりん」は、生果としての外観に課題があっても、ピューレ、ソース、ジェラートなどの加工用途では十分な品質を備えていることが分かりました。
また、「あまりん」が持つ濃厚な甘味、華やかな香り、埼玉県産ブランドとしての価値を活かすことで、規格外品であっても、付加価値の高い業務用素材として流通できる可能性が確認されました。
令和8年度は、この実証結果を実際の商品と売場につなげる社会実装として、東京都内のパティスリー「INFINI」と連携。
埼玉県産「あまりん」を使用したパフェと限定スイーツを開発し、2026年4月11日・12日の2日間、INFINI九品仏本店で期間限定販売しました。
「規格外だから使う」のではなく、「おいしい素材だから選ばれる」商品をつくる
埼玉県では、いちご、さつまいも、柑橘など、多様な農産物が生産されています。
一方、味や品質に問題がなくても、形が不揃いであること、サイズが出荷基準に合わないこと、収穫時期や運搬によって傷がついたことなどを理由に、通常の販売が難しくなる農産物も少なくありません。
特にいちごは傷みやすく、収穫後の品質変化が早いため、規格外品を有効活用するためには、適切なタイミングで加工し、品質を安定させる仕組みが必要です。
しかし、飲食店やパティスリーが農産物を直接仕入れて加工する場合、洗浄、選別、ヘタ取り、ピューレ化、保存などに多くの時間と人手がかかります。
そこでKIBOでは、生産者と飲食・製菓事業者の間で一次加工を担い、規格外農産物をプロの現場で使いやすい素材へ変える仕組みづくりを進めました。
今回のプロジェクトで重視したのは、フードロス削減という社会的意義だけで商品を訴求するのではなく、まず「おいしい」「美しい」「食べてみたい」と感じられるスイーツをつくることです。
規格外農産物の活用を商品の理由にするのではなく、素材の魅力を最大限に引き出し、その背景にある生産者支援やフードロス削減の物語を付加価値として伝えることを目指しました。
パティスリーの技術と、規格外農産物の加工技術を掛け合わせる
本プロジェクトでは、INFINIのオーナーシェフ・金井史章氏と、KIBOが展開するジェラートブランド「be GELATO」が連携しました。
INFINIが持つパティスリーとしての感性、商品開発力、構成力と、be GELATOが持つ地域素材の加工技術を掛け合わせ、埼玉県産「あまりん」の魅力をさまざまな形で楽しめる限定商品を開発しました。
パフェには、規格外の「あまりん」を使用してbe GELATOが製造したソルベを使用。
「あまりん」の特徴である濃厚な甘味と華やかな香りを残しながら、パフェ全体の構成に合わせ、果実感とすっきりとした後味を楽しめるソルベに仕上げました。
さらに、「あまりん」を使ったソースや果実などを重ねることで、それぞれの層から異なる味、香り、食感が現れる構成としました。
規格外農産物を単なる代替原料として使用するのではなく、パフェの印象を決める重要な素材として位置づけています。
埼玉県産「あまりん」を使用したパフェ・限定スイーツ販売
開催日
2026年4月11日(土)・12日(日)
開催場所
INFINI九品仏本店
連携
INFINI × be GELATO
使用素材
埼玉県産ブランドいちご「あまりん」
主な取り組み
・規格外「あまりん」の選別と一次加工
・be GELATOによる「あまりん」ソルベの開発・製造
・INFINIによる限定パフェ、スイーツの企画・開発
・規格外農産物を活用した商品の期間限定販売
・令和7年度実証事業で得た知見の社会実装
埼玉県産「あまりん」を、味・香り・食感の異なる形で表現
限定パフェでは、「あまりん」を生果、ソース、ソルベなど複数の形で使用しました。
同じいちごであっても、加工方法によって甘味、酸味、香り、食感の感じ方は変化します。
果実そのもののジューシーな味わい、ソースにすることで生まれる濃厚さ、ソルベにすることで引き立つ香りと軽やかな後味。
それぞれの特徴を組み合わせることで、「あまりん」の魅力を立体的に楽しめる商品を目指しました。
be GELATOのソルベは、規格外果実を使用しながらも、果実の品質と味を確認し、適切に選別・加工しています。
形状やサイズではなく、素材が持つ味と香りを基準に価値を見直すことで、生果とは異なる新しい魅力を持つ素材へと生まれ変わらせました。
令和7年度の埼玉県地域型食品企業等連携促進事業では、規格外農産物について、味覚センサー分析、加工試験、試作品開発、店舗提供、消費者アンケートを実施しました。
消費者アンケートでは、規格外農産物の活用に対して約97%が肯定的な印象を持っていることが確認されました。
その一方で、消費者が商品を選ぶ最初の理由は、フードロス削減という社会的意義ではなく、味、見た目、食体験など、商品そのものの魅力であることも明らかになりました。
この結果を踏まえ、令和8年度の本プロジェクトでは、次の3点を重視しました。
・商品としてのおいしさと完成度を最優先する
・規格外農産物を、価値ある地域素材として使用する
・フードロス削減や生産者支援の背景を、商品の付加価値として伝える
令和7年度に検証した「加工素材としての可能性」を、令和8年度に実際の店舗と商品へつなげることで、実証から社会実装へとプロジェクトを発展させました。
規格外農産物が、首都圏のパティスリー商品になるフードチェーンを実現
本プロジェクトでは、埼玉県の生産現場で発生した規格外「あまりん」が、一次加工を経て、東京都内のパティスリーで提供される限定スイーツへと生まれ変わりました。
主な成果は次のとおりです。
・令和7年度の実証結果を実際の商品開発へ展開
・規格外「あまりん」を業務用ソルベとして一次加工
・パティスリーで使用しやすい状態にすることで、調理現場の負担を軽減
・INFINIとbe GELATOの協業による限定商品を開発
・規格外農産物を高付加価値なスイーツ素材として提案
・埼玉県の生産者と東京都内のパティスリーをつなぐ流通モデルを実践
・フードロス削減と商品価値を両立する社会実装の機会を創出
規格外農産物を「安価な原料」や「廃棄を減らすための素材」として扱うのではなく、ブランドいちごの魅力を備えた高付加価値素材として届ける、新しい活用方法を形にしました。
地域の農産物を、継続的に価値へ変える仕組みづくり
規格外農産物の活用を継続的な事業にするためには、生産者、一次加工事業者、飲食・製菓事業者をつなぐ流通と加工の仕組みが必要です。
また、農産物の特性によって、適した活用方法は異なります。
重量があり単価の低い農産物は、地域内で加工・消費するモデルが適しています。一方、「あまりん」のように軽量でブランド価値の高い農産物は、高付加価値な加工素材にすることで、首都圏を含む広域のB2B流通へ展開できる可能性があります。
KIBOでは今後も、be GELATOの加工技術と、パティスリー、レストラン、ホテルなどとのネットワークを活かし、地域の農産物を魅力ある商品と食体験へつなげていきます。
農産物を「捨てずに使う」だけではなく、その素材だからこそ生まれる新しいおいしさと価値をつくること。
生産者、加工者、料理人、消費者をつなぎ、地域の未利用農産物が継続的に価値を生み出すフードチェーンの構築に取り組んでまいります。