福井県
地域の食材を活かした、シンプルで美味しいメニュー開発を得意とする料理人。
提供現場のオペレーションまで踏み込んだ、再現性と持続性のあるレシピ設計を強みとし、
メニュー企画・開発からスタッフへの落とし込み、品質を維持するための現場マネジメントまで一貫して対応。
現場と経営、双方の視点を踏まえた「実行できるメニューづくり」を行っている。
KIBOは、永平寺の地で酒造りを続ける老舗酒蔵
田辺酒造とともに、蔵元を迎えて開催する体験型イベント
「酒蔵めぐりディナー − 田辺酒造編 −」の企画・運営を行いました。
本企画では、禅の文化が息づく土地で醸される、
静かで芯のある酒質を軸に、
日本酒を「知識」ではなく「感覚と余韻」で理解する体験として設計しています。
田辺酒造が大切にしているのは、
効率ではなく「味わいと向き合う」酒造り。
九頭竜川の伏流水、和釜による蒸米、
酒袋一枚一枚に醪を詰めて搾る手仕事。
時間と手間を惜しまず醸される酒は、
派手さはなくとも、心にすっと染み入るやわらかさと芯を持つ。
KIBOはこの思想を、情報としてではなく、
料理・言葉・空間体験を通して
都市にいながら体感できる形へと再編集しました。
本ディナーの核となるのは、
「料理に酒を合わせる」のではなく、
「日本酒に料理を合わせる」という視点。
「越前岬」を中心とした6種の日本酒を主役に据え、
それぞれが持つ
・静かな旨み
・やわらかな香り
・余韻の伸び
に寄り添うよう、春の食材を用いた料理を設計。
酒と料理が競い合うのではなく、
互いの輪郭を引き立て合うことで、
春の気配とともに味わいが立ち上がる構成としました。
当日は、田辺酒造の蔵元が各テーブルを巡り、
酒造りの背景や味わいの特徴を直接語る構成としました。
さらに、日本酒コミュニティ「酒小町」との対話を通じて、
造り手と飲み手、双方の視点から酒を捉える体験を設計。
「なぜこの酒は、静かに心に残るのか」
「どの瞬間に、最も美しく感じられるのか」
その問いを参加者自身が感じ取ることで、
一杯の日本酒が、土地と人の記憶を宿した存在へと変化していく時間を創出しました。
料理を手がけたのは、KIBOエグゼクティブシェフ秋山直宏。
フレンチの技法と商品開発の視点を活かし、
今回は「酒の余韻を最大化すること」を軸に、
春の食材を用いた5皿のコースを構成しました。
青大豆、越前の鮮魚、若狭牛、鴨、そして春いちご。
香り・温度・食感のレイヤーを設計することで、
日本酒の繊細な表情を引き出す構成としました。
またデザートには「be GELATO」によるパフェを組み込み、
食体験全体に余韻の連続性を持たせています。
KIBOは本企画において、以下を担った。
イベント全体のコンセプト設計
酒蔵・蔵元との企画設計・調整
シェフとのマリアージュ設計ディレクション
トークセッション構成・体験導線設計
会場運営・進行管理
ブランド体験としての一貫性担保
単発の食事会ではなく、
酒蔵の思想を都市で継続的に伝えるための
シリーズモデルとして設計しています。
春という季節性を通じた酒質の可視化
静かで芯のある酒の個性を、春食材との重なりによって表現。
味覚だけでなく、季節の記憶とともに印象づけることに成功。
日本酒を“感覚で理解する体験”の深化
専門知識ではなく、対話と味わいの積み重ねにより、
参加者が自分の言葉で日本酒を捉える入口を提供。
酒蔵・料理・コミュニティの三層構造を実現
蔵元、シェフ、酒小町という三者の視点を重ねることで、
日本酒を多面的に捉える体験設計を確立。
地域酒蔵の都市発信モデルの拡張
シリーズ最終回として、
酒蔵ごとの個性を軸にした展開モデルを確立。
今後の継続的なブランド体験設計へと接続可能な基盤を構築。